理想の塾講師
理想の塾講師とはどのような人物なのかという話になった時に、非常に難しい問題があります。塾講師のアルバイトは、子どもに対してサービスを提供する仕事です。そうなると、理想の塾講師は子供たちから見たいい先生は、という感じがしなくもありません。
しかし子供たちから見た「いい先生」というのは「自分たちにとって都合のいい先生」ということになります。具体的には、子どもたちを叱らない先生、おもしろい先生、こちらの話をよく聞いてくれる先生といったことが条件として出てくるでしょう。しかしこのような条件を見ていると、果たしてこれが理想の塾講師像としてしまっていいのかという問題が出てきます。
たとえば本気になって、生徒にプラスになるために何かをしたいと考えると、生徒に嫌われる先生になってしまいかねません。宿題をたくさん出す、集中して授業を聞いてもらいたいがために私語をしている生徒を叱るなどの行為は、生徒に良かれと思ってやっても生徒には嫌われるでしょう。このように生徒から好かれることと理想の塾講師像は必ずしもリンクしない所があります。
このようなジレンマを抱えて、特に正社員として塾講師の仕事をしている人は、かなり悩むこともあるようです。
しかし一時的にその場では生徒に嫌われるかもしれませんが、生徒のことを思って叱る、厳しい宿題などを出すことをいずれ理解してくれるときが来ます。そして卒業するとき、もしくはそれからもっと後になって感謝されることもあるかもしれません。実際そのような経験をして、自分の塾講師のキャリアの中でも宝物であるという人もいます。
理想の塾講師を目指すのであれば、時には生徒の敵になってしまうこともありうるということを頭の中に入れておきましょう。そこまでしてでも生徒のためを思って鬼になれる覚悟があるのかどうか、真剣に考えてみましょう。このように自分の仕事に関して真剣に考えられるところも、塾講師のアルバイトのだいご味といえなくもありません。